第94章 現代版柱稽古
なんとか逃げきり、二人で物陰に隠れる。
「うわーん先輩ありがとうございましたああ!!」
「わかったわかったから、落ち着いて!」
私は蜜璃をなだめながらため息をついた。
「あの二人のことだからすぐに場所がばれちゃうよ。」
「す、すみません…」
「ひとまず私たちは二人で頑張ろっか。また遭遇したら厄介だし…。」
「うむ!そうだな!」
ひそひそと話していたら突然大きな声が聞こえた。
まあなんと敵チームのはずの煉獄くんだ。
「ええ!?煉獄さんなぜここに!?」
「霞守阿国の指示に従って動いていたつもりが迷ってしまった!そしたら君たちがいた!」
「…つまり?」
「俺はどうしたらいいのだろうか!!」
知らん。帰れ。
「本当は木谷という人を追いかけるつもりだったのだが、霞守少女の指示に誤りがあったのか…?」
いや、優鈴がなんかよくわからん力で君の存在を察知して逃げたんだと思う。
「煉獄くん」
「む?何だ?」
「優鈴の相手をするのに一人なんてわけないよね。誰と一緒にいたの?」
私が聞くと、煉獄くんはにこりと笑った。
「バレたか!」
ガサッと音がして、次の瞬間には目の前に現れたのは実弥と伊黒くんだった。
伊黒くんは私、実弥は蜜璃を狙っていた。
ファーストタッチは探りをいれてくると思ったので、思いきり弾き返した。すると予想通り伊黒くんを退けることに成功した。
と、まあ。自分のことより気になったのは蜜璃だ。
「恋の呼吸!」
見たことも聞いたこともない呼吸と鞭みたいな刀を使っている。
うっかり気を取られていると、出戻ってきた伊黒くんとさっきまでそこに突っ立っていた煉獄くんが私に向かってきていて少し反応が遅れた。