第94章 現代版柱稽古
私はフォローされに行くのかしに行くのかどちらだろうか。そんなことを考えつつ蜜璃がいる場所まで向かった。
案外すぐついたが、正直このまま見逃してしまおうかと思った。
だって蜜璃、宇髄先輩と悲鳴嶼先輩に囲まれてるんだもん。
(なんであの2人に)
一度立ち止まりたかったが、もうだめだ。宇髄先輩は耳がいい。私は完全に彼の間合いに入ってしまった。
宇髄先輩が私を視界に入れる前に動いた。
「垂天遠霞!」
とりあえず壱の型にしておいた。突き技なら刀の長さが長かろうが短かろうがからぶることはない。
でも。
「来たな霧雨えええええ!!!」
「およ」
あっさり避けられた。まあですよね。俊足の宇髄先輩にあっさり当たるわけないか。
「う、うわーーー先輩!一体どこから!?」
気づかなかった!と蜜璃が叫ぶ。うん今はそれどうでもいいから一緒に頑張ろうか。
言いたいことはたくさんあるが、話している場所ではなさそうだ。
ジャラリ、と音がしたので蜜璃の背中を押して自分も移動した。するとさっきまでいた場所に鎖のついた鉄球が落ちた。
ねえさっき見た時から思ってたけどこれ当たっても大丈夫?悲鳴嶼先輩の日輪刀怖すぎじゃない??
「やはり本調子ではないか、霧雨。」
「こっちとしては好都合だけどなあ。日輪刀も自分のじゃないし扱いにくいんだろ。」
やばいぐうの音も出ない。
「先輩!あの2人すごく強いですよ!?大丈夫ですか!?」
「あ、うん。…まあ多分。きっとおそらく。」
「大丈夫ですか!?」
…この日輪刀の感覚さえ掴めば早いんだけど。いやそんなこと言ってもしょうがないか。
「じゃあ、サクッと終わらせるか!」
宇髄先輩が飛び出してくる。ああもうこうなったら!!
「霞の呼吸…!!」
「当たらねーよ!派手に軸がブレブレだ!!」
肆の型
「当たらなくていいんですよ!!!」
地面ごとえぐって、とにかく全力で上空に向かって放つ。
すると土が舞い上がって、あたり一面の視界が悪くなった。
「行くよ!!」
その一瞬の隙をついて蜜璃の手をとり、その場から逃げ出すことに成功した。