第93章 現代版柱合会議(仮)
とはいえ、今は健康そのもの。怒った実弥に病院を連れ回されたのですっかり治った。
『自分の体くらい自分で管理する』
と言い返したら
『何かあって後悔するのは俺なんだよ』
って言われて何も言えなくなってしまった。
…ともかく私は前科がありすぎて信頼がないようだ。
「不死川先生がそばにいてくださるのなら、心配はないようですね。」
「…そうですね。寿命が伸びた気さえします。」
あまねさんは一度頷き、また違うことを聞いてきた。
「では子供のことはどうです?何か心配ごとなどはありませんか?」
それには何も言えなかった。
言葉が出るような出ないような、そんな感覚。
嘘をつけばいいだろうか。大丈夫だと。
けれど、私は昔からあまね様の純粋なところが少し苦手でさえあった。嘘をついたあとに悪いことをしたと、この人の前では強く思ってしまうからだ。
「本当のことを言ってくださって構いません。主人にさえ口外しませんし、ここには私とあなただけです。」
あまねさんにまっすぐそう言われた。
「辛いことは言わなくて良いです。言いたくなければ帰っていただいて大丈夫です。あなたの自由ですよ。」
何だか、実弥とは違う優しさだった気がする。私は沈黙した。声の代わりにポロポロ涙が出て、話し始めたのはだいぶ後だったと思う。
「子供が怖いんです」
実弥はこれを言うと怒る。当たり前だ。正しいのは彼だから。
「お腹にいた頃は愛してました。でも生まれてきて姿をみた時からちっとも愛せないんです。
私、泣いてるあの子を見ると怒鳴りたくなります。いつか殴るんじゃないかって、あの子のそばにいると怖いんです。
実弥におんぶにだっこなこの状況から抜け出したいけど、辛い気持ちだけがあって動けません。
今は仕事もなにもしてないのに、死ぬよりはマシだからってことで実弥は何も言ってこないけど、私、いつか、自分が自分の家族みたいになる自信があるんです。」
拙い言葉を、あまねさんは黙って聞いてくれた。
私は涙を止められなくて、震える声でなんとか最後まで話した。