第93章 現代版柱合会議(仮)
みんながワラワラと解散する中、実弥が私のところに寄ってきた。
「大丈夫か?」
「うん。平気。ね、無一郎くん。」
「はい。」
無一郎くんはすっかり大人しくなって実弥の前でもにこにこしていた。
よかった。みんな仲良しがいいもんね。
「でも教室が吹き飛んでるからびっくりした。」
「お前らいなくて良かったよ。とんでもねぇことになってたから。」
「なんで先輩はあんなに怒ってたの?」
「冨岡の言葉足らずのせいだ。」
…それは想像できる、かも。
「よっぽどイライラしていたのね。」
「まあ、鬼がいるなんて言われたら普通な。」
「実弥はイライラしてない?」
いたずら心で聞いてみたら、彼は鼻で笑った。
「そんなもんどうでもいいわ。」
「ああそう。人の心がないね。」
「お前もだろ。」
あまりにもはっきりと言ってくるもんだからつい吹き出してしまった。密かに笑っていると、無一郎くんは目ざとく見つけてきた。
「師範が笑った…!こういうのが好きなんだ…!!」
なんかよくわからないことを呟いていたけど。
「じゃ、話し合いも終わったし帰るか。時透も遅くなる前に帰れよ。」
「はい。不死川さんは稽古の時、背後に気をつけてくださいね。」
「どういう意味だ。」
「はいはいさようなら。」
「時透!!!」
「まあまあまあ落ち着いて。」
中学生の煽りにまんまと乗っかるので肩をたたいてなだめた。
「あの野郎いつもいつも俺のことを目の敵にしやがって。」
「相手子供だけど。」
「お前のこと好きな時点で子供もクソもねぇ。俺の敵だ。」
「目の敵にしてるのは君なんじゃない?」
冗談かなんかで言ってるのかと思ったけど、目がまじだったのでそれ以上突っ込むのはやめた。なんか面倒くさそうだったから。
「早くあまねさんのところに行こう。のんびりしてると申し訳ないから。」
私はそう言って実弥の背中を押した。
今日は会議の間、この学園の校長であるあまねさんに子供を預かってもらっていたのだ。
快く引き受けてくれたものの、赤ちゃんを任せたままというのも気がかりなので急いで彼女の元に向かった。