第93章 現代版柱合会議(仮)
しかしその理不尽によって会議は進みそうだった。
「お…僕は殺さない方がいいと思います。もう鬼殺隊もないし、どこかに閉じ込めて監視するとかどうですか。」
最初に発言したのは無一郎くんだった。
…もちろん、この会議に参加する者の中には“鬼”に関する真実を知る人だっている。
この子もその一人。知っている人は言いふらさないように、私情で会議を乱さないようにと事前に打ち合わせしている。
けど、その言葉は私情以外の何でもない気がした。
「……監視、ねぇ。俺は早い話、派手にぶった斬る方が良いと思うぜ。だって鬼だろ?」
「人の心がないんですか宇髄先生。」
「え…」
無一郎くんに軽蔑の目を向けられて先輩はそれそれは地味な悲鳴をこぼした。どんだけショックなんだろうか。
「べっ、別に人間を殺そうって訳じゃねーんだからいいだろうが!なあ!?」
いやそれ半分は当たってるんだよなぁ。
「私も鬼は生きていない方が良いと思う。」
「ほらみろ悲鳴嶼さんが言ってんだぞ時透。」
「いやです僕は師範の言うことしか聞きたくありません。」
そう言って無一郎くんは私のところまで飛んできた。隣に座っていた実弥をタックルする勢いで押し退け、ついには私の隣を陣取った。
「……おい時透。」
「不死川さん、いつも師範と一緒だからいいじゃないですか。僕は限られた時間しか一緒にいられないんだから譲ってくださいよ、大人がみっともない。」
「あァ???言っとくがお前の師範も今は“不死川さん”だぞそこらへんわかってんだろうなぁ???」
もう、この先の展開読めてきた。
「しはぁん、不死川さんが僕をいじめるよぅ。」
「あァ!?!?!?!?!?!?」
次の瞬間、バァン!!!!!と大きな音がした。音の方に目を向けると、優鈴がホワイトボードに風穴をあけていた。拳で。
「……二人とも、ちゃんと議題について話そうか。」
血走った目でにらんでくる優鈴から視線をそらしつつ、二人にはそう声をかけた。