第93章 現代版柱合会議(仮)
優鈴は書類に目を落として話し始めた。
「言いたいことは二つある。」
まず一つ目、と間をあける。
「霞守神社で鬼の被害者及び鬼殺隊の鎮魂の儀式を久しぶりに開催することになった。ここにいる人たちには強制参加。舞台の上で呼吸の型を奉納してもらうよ。いいね。」
反対意見を言うものはいない。
…問題は次かな。
「じゃあ二つ目。えーっとね。簡単に言うと……」
どう切り出すのか迷ったのか、さっきよりも時間があいた。
「鬼の生き残りが見つかったんだけど、どうする?って言うはなし。」
場の雰囲気が変わった。
痛いほど、緊張の糸が張り詰めた。
「どういうことです?」
反応したのは、春風さんだった。
おそらくこの場にいる全員の気持ちを代弁した。
「そのままです。鬼がいたのでその処分をみんなで話し合って決めます。」
「違いますよ、どうして今この時代に鬼がいるんですか?討伐されたと聞いていましたが。」
その疑問はもっともだ。
「ありえません…。無惨の頚は斬ったはずです。」
「ああ。確かにあの時、鬼は全て消えた。」
炭治郎くんと冨岡くんもたまらず口を出す。
「消えたか消えてないかなんて知らないし聞いてない。ただし鬼はいるってだけ。どうぞ好き勝手に妄想して。」
優鈴は冷たく言い放った。
「俺が言いたいのは、とりあえずみんなでどうするか決めたいってこと。」
「どうするかって…」
「生かすか殺すか。簡単でしょ。」
これには会議室がざわついた。優鈴があっさり言うことを、みんなは受け入れられないようだ。
「殺すってそんなのできませんよ!!」
「何で?お前らいくらでも鬼殺してたでしょ。何が嫌なの?何が違うの?」
優鈴の質問には誰も答えない。
「別にあんたらにやれなんて言ってないでしょ。言いたいのはつまり、どうしたいか。ちなみに放置したい、もアリね。」
「…それなら誰がやるんですか?」
「誰がやるとかどうでもいい。君たちの気持ちが知りたいだけ。以上、次なんか質問してきたやつ殺す。」
同じようなことばかり聞かれてムカついたのか、優鈴は怖い顔で言った。理不尽だ。