第92章 夜露死苦

「でも桜くんがいないと、“私”のことで困るんじゃ…」


私がそう言うと、陽明くんも同意見なようで頷いていた。


「困りますねえ…」

「正直、とりつく島もない感じでして…」

「わあー想像できるー」


桜くんがつっけんどんに突っぱねるのはいつものことだ。いつものことすぎて忘れていた。


「よし、。お前が話をつけてこい。」

「え？」

「顔が広いんだろう。無駄に。」

「あんたさっきは信じなかったのに今は信じるの！？嘘でしょ！？」


愈史郎さんは私を鼻で笑い、肩を叩いた。


「お前も珠世様の役に立つことがあるんだな。」

「ああもう腹も立たない。」


ここで怒鳴ったところでどうにもならないとわかっているのでもう何も言わなかった。

反論するのも体力がいるのである。


「さんがお願いすれば望みもあるかもしれませんね。」

「あ、はい、頑張ります」


もういい。馬車馬のように働こう。


「会いに行くのは難しいし…電話でいいかな。出てくれるといいんだけど。」

「ウジウジしてないで今日中にやれよ。」

「愈史郎さん私に恨みでもあるんですか？」

「ある」


心当たりがありすぎて逆にないって言うかはいわかりましたもう全部私が悪いです。


「今日中にやらせていただきます…」

「うん。じゃあ桜さんのことが片付いてからみんなが集まる機会を作りましょうか。そこで霧雨さん…“鬼”のことについても話し合うと言うことで。」

「…そだね」


なんていうかどうして真面目な話になると私の無能さを吊し上げるようなことになるんだろうか。

………とっとと桜くんに電話しよーっと。昼間は大学だから夜でいいかな。うん。