第13章 出会いは始まり
気まずい沈黙が流れた。
じっと彼が見つめてくるのでゆっくりと目を逸らした。
いや、頼む、なんとか言ってくれ。
と思っていると、すぐ側で人の気配を感じた。どんどんこっちに向かってきている。
「…!!」
現れたのは実弥だった。まあ、気配でわかっていたが。
「…誰だ?」
「えーとえーと、私のツレです。」
「なるほど。」
継国縁壱はそう言って頷いた。
しかしその数秒後、実弥の怒鳴り声が響いたので彼は少し肩を震わせた。
「お前マジでいい加減にしろよ!!!」
「え!?なぜ怒っていらっしゃる!?」
「何回も電話かけただろうがッ!!この馬鹿!!!」
「う、嘘!?……本当だ!!モウシワケゴザイマセンッ!!!!」
今更スマホを見ると大量の不在着信履歴が…。音が鳴らないように設定していたから全く気づかなかった。
いつにもなくキレ散らかしていたけれど、すぐに落ち着いて子う聞いてきた。
「で、迷子ってのは?」
「ああ、その子ならね…ほら、お父さんが来てくれたの!」
私は継国縁壱に目を向けた。
それまで私に一直線だった実弥がようやく顔を動かした。
その顔を見た途端、実弥がさあっと青ざめた。
そして、怒りの感情がどんどん膨れ上がっていった。
「なんでお前がここにいやがる!」
最終的には彼に向かって怒鳴った。あまりの剣幕に私は何も言えず、彼の腕の中の男の子は泣き出してしまった。
「…さ、実弥…?」
「…ッ帰るぞ!」
「えぇ!?ちょ、まだ話したいことがあああ!!」
実弥は強い力で私の腕を引っ張った。どうしたらいいのかわからずにいると、継国縁壱が泣き叫ぶ男の子の背中を優しく撫でながら言った。
「…君は…君たちは、鬼殺隊の剣士か」
「あ?」
実弥が立ち止まる。
あああ待って待って何この空気〜!!