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キメツ学園ー輪廻編【鬼滅の刃】

第90章 昔昔のそのまた昔


愈史郎さんに話を聞いて、段々と自分のことはわかってきた。


私は鬼殺隊という隊に所属していて、霞柱…だった。
一緒に暮らしていた子供がいた。
人間だったが仲間が作った薬を飲んで鬼になった。


そして、鬼が滅んだ今、生きている鬼は私と愈史郎さん、そして茶々丸だけということ。


「鬼って何をするんだ?」

「…人間を食べるんだ。」

「………………………食べないが?」

「お前は特別だ!俺は食べる必要がある!!」

「そうか。一人捕まえてこようか?」

「ふざけるなよお前!!!」


愈史郎さんは顔を真っ赤にして怒鳴った。


「食べないといけないのだろう?」

「…患者から研究のためだと言って血を恵んでもらっている。それで十分だ。」

「足りなかったらいつでも言ってくれ。」

「お前にだけは言わん。」


彼は茶々丸を抱き上げ、深くため息をついた。


「全く、鬼に大切なものを奪われた悲しみまで忘れたのか。どこまでお前は淡白なんだ。」

「?」

「俺はな、お前に言いたいことが山ほどあったんだ。」


苦虫を噛み潰したような顔をして彼は続けた。


「忘れてしまっては何を言っても無駄じゃないか…!!」

「そう落ち込むな。」

「そのくせ図太さだけは健在ときた。」


そんなことを言われてもわからないことはわからない。
いったい彼の記憶の中の私はどんな人物だったのだろうか。


「それより、お前絵はどうした。ちゃんと描いているのか?」

「ああ。覚えていることに限度はあるが、そこそこ溜まってきた。愈史郎さんが教えてくれたから上達した。」

「…覚えがいいのも相変わらずだな。」


愈史郎さんは苦笑いを浮かべた。

茶々丸は退屈なのか、ゴロゴロと喉を鳴らしていた。
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