第13章 出会いは始まり
今日は思っていたより涼しかった。夏真っ盛りだが、公園では子供達が走り回って遊んでいた。
「思えば、外でのんびりするってあんまなかったねぇ。」
「お前が24時間年中無休で仕事してたからだろ。」
「すみませんでした。」
痛いところをつかれて思わず謝ってしまった。
「…何か、今思うとよくあんなギリギリで暮らしてたな。あ、絵を描くのと追い詰められるのは好きなんだけどね?」
「おい、聞き捨てならねえ言葉が聞こえたぞ。」
「ギリギリだとあれもこれも〜ってなって、何かめっちゃ時間使うし…お得な感じしない?」
「お前は計画性がないだけだろ。」
……また痛いところをつかれた。いや、もうつかれたどころではなくハイキックレベルの打撃もろ顔面に食らってるな。
「ええ〜ぐずぐずに甘やかしてよ!なんでそんな正論ばっか言うの!!」
「十分甘やかしてんだろ。」
「ぐぬぬ」
またしても正論が降ってきた。
「チッ、小学校卒業するまでサンタさん信じてたピュアピュア実弥はどこにいってしまったのかしら。」
「アホか。弟と妹もいたのにサンタがいないなんて言えるわけないだろ。お前こそ中学の時に妖精がいるって騒いでただろ。」
「違うよ。気配がざわざわしてて妖精みたいだって言っただけだよ。比喩だよ。あっ、そっか。数学の先生だから日本語わかんないんだね…ドンマイっ。」
「そろそろ怒るぞ。」
「すみませんでした。」
家の中だろうが外だろうが私たちは変わらないな…。ずっとどうでもいいこと話して二人で過ごしてる。
……夢の中ではあり得なかったことだ。
「…お前、今日顔色いいな。」
「へ?あ、そう?」
シリアスなことを考えていたら急にこう言われて驚いた。
「実弥と一緒だからかな。」
「……。」
「ハッ、それって美人ってこと?今私のこと褒めてくれたの!?」
「ああ、頭の中がお花畑だからか。」
「え、どう言うこと!?」
実弥はプイッと顔を逸らした。しかし、チラリと見えた耳が真っ赤になっていたのが見えた。
……私、もしかして、すごく恥ずかしいこと言った…?