第13章 出会いは始まり
日陰にシートを引いて荷物を置く。私も車椅子から降りて実弥と二人で座る。
「ちょ、狭いんだけど。実弥もっと小さくなって〜!」
「無理言うな。」
大人二人と荷物を置くと結構狭くなってしまった。
「うへへ、こうなったらくっついちゃうぞッ!」
いつものように冗談でぎゅっと抱きつく。まあどうせすぐに引き剥がされるだろうなあと思っていたが、特にそんなこともなく。
「えっ」
「あ?」
「えっ、えっ???」
まさかの無反応。しかも私がくっついたまま水筒に入れてきたコーヒーをグビグビ飲んでるし。
「ちょっと!突っ込んでよ!!いつもみたいに『離れろブス!』とか言ってよ!?私はツッコミを待ち望んでるんだよ!?」
「……俺、お前にブスって言った事あるかァ…?」
「………ない…ですね。」
あら優しい。
いやそうじゃなくて。
「え、もしかして本日は調子が悪いとか?大丈夫?」
「悪くねえよ。どうせ恥ずかしくなってお前から離れるだろ。」
「……よくわかっていらっしゃる。」
確かにこの状況はとても恥ずかしい。私はすっと離れていった。
「コーヒー飲むか。」
「飲む。」
そんなこんなでピクニックが始まりました。