第13章 出会いは始まり
私の体調のことも考えて、行き先はそんなに遠くない公園になった。朝から二人でうだうだ言いながら準備をしてピクニックに行くことに。
とはいえ、車で行かないといけない距離だし、周囲にはたくさんの人がいたし、十分なお出かけだった。
「人多いねー。」
「土曜日だからな。」
「ああ、そうか…。曜日の感覚すっかりなくなっちゃったな。」
まだまだ長い距離を歩くことはできないので、車椅子で移動していた。
何もお願いしていないのに、車から降りるときに抱っこしてくれたし、今も車椅子を押してくれてる。
ここまでいたれりつくせりなお出かけがあるだろうか。
見た目から誤解されがちだけど、実弥って本当に優しいんだよな。正直っていうか…。やりたいことをやってるだけで、その結果嫌われたり好かれたり、人によって評価が違うんだけど。
まあ本人は悪いことをしてる自覚はないし、実際悪いことしてないし。
「何しかめっ面してんだよ。暑いのか?」
「いや、私、実弥のこと好きすぎるなって…。」
「あ?」
だってこんなに実弥のこと考えてるんだよ!?好きだから!としか…!!
「何でそんなに格好いいのにモテないの?バグ?」
「…どうでもいいんだよそんなことは。」
「うう〜、顔のせいかな…。」
「顔面偏差値の高いやつは黙ってろ。」
実弥は怒りマークを額に浮かべた。
「それで、けっこう人多いけど場所どこがいいんだよ?」
「日陰がいい〜。今日日差し強いし。」
「ん。とりあえず今はこれ被ってろ。」
実弥は何かを頭に乗せてきた。
チラリと上を向くと、そこにあったのは実弥のキャップだった。
「借りていいの?」
「ん。」
ぶっきらぼうな答えだが、伝わってくる感情は優しい。
「…何ニヤニヤ笑ってんだよ。」
「フヘッ」
「キモ」
…デレデレしすぎて思わず変な笑い声が出てしまった。
うん。自分でも気持ち悪いと思う。