第2章 混濁
目覚めた数日後、私は二ヶ月以上眠り続けたらしいことを知った。
病院の先生が驚いていた。奇跡だとかなんだとか、やたら興奮して嬉しそうに笑っていた。
駆けつけたおじいちゃんとおばあちゃんと久しぶりに再会し、私はその時も泣いた。二人も泣いていた。
けれど喜ぶ皆とは違って、ずっと寝ていた代償は重く、私は少し不安だった。
体が思うように動かないし、声も出しにくい。起きているのも辛いから、自然と瞼が閉じてしまう。
それでも容態はとても良いらしく、栄養を送る管以外取り外された。少し身軽になった。
「信じられないわねぇ、昨日までいつ目が覚めるのかなんてわからなかったのに。」
私が睡魔と戦っていると、おばあちゃんが言った。
「ああ、本当によかったなあ。」
おじいちゃんがまた泣いた。
泣きすぎだよ、皆。
「これから検査だからなァ。その時に起こしてやるから、寝てていいぞ。」
実弥がにこりと微笑む。あんなに寝たのにまだ眠いなんて、おかしな話。
ううん。でもいいよね。私眠らずにずうっと闘ってたんだもん。
私は安心して意識を手放した。