第5章 街へ
たどり着いた老舗和菓子店で、煉獄さん一押しの羊羮と美味しそうなお饅頭を大量に購入し終わる頃には、空が茜色に染まりつつあった。
私も持つと言ったのに、購入した物は全て煉獄さんが背負い袋に収納してしまった。
お金も結局支払わせてもらえなかったので、つい口を尖らせれば、煉獄さんは少し困った風な顔をして笑う。
「名前。その顔は君、納得していないな?」
「当然ですよー、だって煉獄さん食事代も受け取ってくれなかったですし・・・」
「うーむ・・・では、こうしよう!怪我が完全に治ったら、俺に一つ菓子を作って貰いたい!」
「お菓子?」
「俺はサツマイモが好物なのだが、それを使った菓子を作ってくれないか?」
「サツマイモのお菓子・・・分かりました!絶対作りますのでちゃんと受け取って下さいね!」
「うむ!期待している!」
よし、絶対に早くこの左腕治す!
骨に良いのはカルシウムとビタミンDだったっけ?
しのぶさんにお願いしていっぱい摂取しよう。
あ、でもサツマイモって収穫できるのは秋だからまだ一ヶ月以上も先・・・って、煉獄さんはそれも見越して言ってくれたのかな。
「スイートポテト、サツマイモプリン、サツマイモチップス、モンブラン、サツマイモのタルト・・・」
サツマイモのスイーツを思い浮かべながらブツブツと呟く。
後で手に入る材料と作り方を調べよう。