第5章 街へ
「グラスにひびでも入っていたのかしら・・・今新しいお水をお持ちしますね」
「うむ!ありがとう!」
割れたコップを片付けてくれたウエイトレスさんが、首を傾げながら厨房へと戻って行った。
いつの間にかチンピラ男達が居ないくなり、店内の雰囲気が元の賑やかさを取り戻している。
「ふー・・・吃驚した」
絡まれ掛けた時は少し怖かったけど、煉獄さんが怪我をしたかもと思ったら、そっちに気を取られてそれどころじゃ無くなってしまった。
「それにしても、いつの時代もああいう輩が居るんですね」
「うむ、まったく嘆かわしい事だな!」
「あのー・・・もしや鬼殺隊の炎柱様では?」
「む?」
先程のチンピラに絡まれていた女性が、離れた席から声を掛けてきた。
「そのとても目立つ御髪といい羽織りといい、やっぱりそうだわ!お父様、この人があの時私を鬼から助けてくださった方ですの!」
「何!?それはまことか!」
両の手を合わせながら顔を紅潮させる女性に、彼女の父親がその厳つい顔に笑みを浮かべてズンズンと近寄って来る。