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loop-ループ-いつか辿り着く世界【鬼滅の刃】

第5章 街へ



一触即発な空気に店内は静まり返った。
おそらく巻き込まれたくないと思ったのだろう、近くの席に座っていた何人かの客が、そっと席を立って離れていく。

「儂の居らぬ間に娘に手を出そうとは!この不届き者共め!」

ズンズンと歩いてその場に近寄ると、厳つい顔の男が拳をテーブルに叩き付け、チンピラ男達を怒鳴りつけた。
顔どころか禿げ上がった頭まで真っ赤にした男は怒り心頭といった様子で、額に幾つも血管が浮き上がり唯でさえ厳つい顔が更に恐ろしい形相へと変貌している。

「まあ、お父様」
「ひえぇー・・・」
「はぁ!?お、お父様ぁあ!?」

絡まれていたらしい女性が口許を押さえた。
チンピラの内の一人は腰を抜かし、もう一人は素っ頓狂な声を上げて、まったく似ていない父娘を指差す。

「チッ・・・おい、行くぞ」
「へぇ?あ、ああ!待ってくれよ兄貴ィ!」

どうやら女性に絡むのを諦めた様子のチンピラ二人組は、近くのウエイトレスさんにお勘定らしき物を乱暴に渡して出口へ向かう。

「ジロジロ見てんじゃねぇよクソが!」
「ひゃっ!」

通り過ぎ様に、出入口付近の席に座っていた私の椅子を兄貴と呼ばれた方のチンピラが蹴飛ばした。
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