第3章 鬼殺隊と鬼
行きは姫抱きで帰りはお子様抱き。
多分私の荷物を持ってくれているから、片手で運べるこの格好になったんだろうけど。
つまりは、半ば煉獄さんの左腕に座る様にして彼の首にしがみついている訳で。
密着具合は正面から抱き付いてる分だけ増し増しである。
ええ、お陰様で私の心臓は今にも破裂しそうです。
「煉獄さん、あの、重く無いですか?」
「まったく重くないな!」
「そ、そうですか・・・」
多分だけど、行きに比べてスピードが遅い様な気がする。
煉獄さんが地を蹴る音とか風圧とか、身体に掛かる負荷とかが違うというか。
まあ、その所為か、心臓以外はかなり快適である。
「苗字、気分は悪くないか?」
「え?」
「おそらくだが・・・君、熱があるぞ」
「!」
熱?
え、私が?
そういえば、何だか身体が熱くて重だるいかも・・・。
人間、熱があると言われた途端に具合が悪くなってくるのは何故だろうか。
病は気からとはよく言ったものだ。
「すまない。病み上がりの身体に無理をさせてしまったな」
「そ、そんな事無いです!私の方こそ煉獄さんにご迷惑お掛けしてしまって・・・あの、ごめんなさい」