第3章 鬼殺隊と鬼
「さて、蝶屋敷に戻るとしよう!」
「はい」
煉獄さんは手早く結び直した風呂敷包みを片手に立ち上がると、もう片方の手を私に向かってスッと差し出してきた。
礼を述べてその手に掴まり、立ち上がった私は彼の手を離すべく腕を引こうとしたが・・・。
「!」
何故か煉獄さんは徐に私の手首を握ると、ピタリと動きを止めた。
直前迄笑みを浮かべていたのに、何やら眉間に皺を寄せて難しい顔をしている。
「煉獄さん?」
「苗字!すまないが、また目隠しをさせて貰う」
「え、あ、はい」
「失礼する!」
あれ、もう目隠しするの?
来る時は本部の敷地に入る門の所で目隠し外してくれたのに・・・。
何て思っている間に、行きと同様しゅるりと目隠しをされた。
それだけではなく、右手を引かれて何かに巻き付かせられる。
ん・・・この匂い、フワフワの髪の感触、もしかしなくても私、煉獄さんに抱き付いてる!?
「しっかり掴まっていてくれ」
「ひょぇっ!?」
左耳に吐息混じりの煉獄さんの声がしてビクッとする。
次の瞬間太股の辺りをグッと抱えられ、子供にするかの様に身体が持ち上げられた。