第3章 鬼殺隊と鬼
「・・・ありがとう、名前さん。その言葉が聞けただけで十分だよ」
近い将来、千年以上続いた鬼との永き戦いに終止符が打たれる事になる。
鬼のいない世界を生きてきた名前の言葉は、鬼殺隊の希望の光となった。
「杏寿郎、おそらく名前さんがこの時代へ現れたのは偶然じゃないと思うんだ。鬼舞辻と接触して生き残った炭治郎や、その妹の人を喰わない鬼である禰豆子の存在。それら全てが膠着状態だった我々鬼殺隊と鬼との間で、確かな歯車となって回り始めている」
「お館様・・・俺もそう思います。下弦との戦闘直後、狙ったかの様に現れた上弦の参。奴は襲撃の際、真っ先に竈門少年を狙った。これには少なからず鬼舞辻の意図が絡んでいるのではないでしょうか」
「うん。炭治郎は今後も狙われ続けるだろう。杏寿郎には今後の為にも、あの子を鍛えてあげて欲しい」
「竈門少年は俺の継子、無論です!」
「それから名前さん、君の事は柱を含めた一部の人間のみに周知させる。今後も何かあれば頼ってくれて構わないからね」
「は、はい、ありがとうございます」
「話は以上だよ、二人共」
鬼殺隊当主の退室と共に、その場はお開きとなった。