第3章 鬼殺隊と鬼
「時に苗字、令和の世に生きる人間は皆が時間を巻き戻したり並外れた怪力を持っていたりするのか?」
「え・・・? そんな力、誰も持って無いと思いますけど・・・?」
名前は目元と鼻の頭を赤く染めたまま、キョトンと杏寿郎を見つめている。
他人の嘘が分かるという少年達も言っていたが、杏寿郎自身もやはり名前は嘘を吐いていないと思った。
となると、あの力は未来を生きる人間だからというよりも、彼女だから発揮出来たという事か。
杏寿郎は上弦との戦闘で名前の見せた力や不思議な時戻りの現象を思い出し首を捻る。
確認しようにも、当人にその記憶が無いのがもどかしい。
「名前さん」
「は、はい!」
「先の世に、鬼は存在しているのだろうか?」
鬼殺隊当主の問いに、杏寿郎は一瞬息を飲む。
「いません」
名前は、キッパリと答えた。
それは鬼殺隊に属する誰もが歓喜に震える言葉だった。