第3章 鬼殺隊と鬼
「・・・っ」
用途の分からない小物とは何だろう。
この風呂敷包みの中には服の他に、一体何が入っているのだろうか。
ドクンドクンと心臓の鼓動が速まり、無意識に握った右手の中に汗が滲む。
「お館様!今の彼女には記憶がありません!」
煉獄さんは私の前に持っていた風呂敷包みを置いた。
「苗字、その包みを開いてみるといい。何か君の記憶に触れる物があるかもしれない」
「は、い・・・」
煉獄さんが「手伝おう」と言って結び目を解いてくれる。
「む、これは・・・なんだ?」
綺麗に畳まれた衣服と少し小さめのポーチ。
それから、白いスマホ。
「・・・電話、です。これは個人用の携帯電話で、スマートフォンと言います」
手に馴染むそれは、多分私が使用していたものなんだろう。
電源ボタンを押してみたが、長期に渡り放置されていた為に充電が切れている様だ。