第3章 鬼殺隊と鬼

「それでは名前さん、左肩の傷口から診ていきますね」
「はい、お願いします」

しのぶに優しく声を掛けられた名前は、片手の割りに慣れた手付きで服のボタンを外していった。
しのぶは手早く包帯をほどいてガーゼを取り、傷の具合を確かめる。

「痛みはありますか？」
「殆ど無いです。ただ、動かすと少し皮膚が引き攣る感じがします」
「ではこちらの軟膏を塗っておきましょうね」

しのぶは自身で調合した軟膏を肩の傷に塗布し、新しいガーゼで押さえて再び包帯を巻いた。
次いで左腕、肋、と怪我の回復具合を診ていく。

「問題無いですね、熱もありませんし腕の方も経過は良好です」
「ありがとうございました」

名前はホッと息を吐いた。
それを見たしのぶはクスクスと笑いながら、カルテを記入していく。
しっかりと名前が服を着たのを確認したしのぶは、廊下に居る杏寿郎を呼んだ。