第3章 鬼殺隊と鬼
「あらまあ煉獄さん、またいらしてたんですか?」
鈴の音を転がす様な声音の持ち主は、開けっ放しの部屋の入口に立っていた。
「む、胡蝶!」
「あ、しのぶさん。おはようございます」
「おはようございます名前さん」
部屋の中を見渡しながら、しのぶはカルテを片手に二人の元へ歩いて来た。
「実はな、今日はいつもの見舞いだけではなくお館様の遣いで来たのだ」
「お館様の?」
「うむ、可能であれば苗字と直接話がしたいと仰られている!彼女を本部へ連れて行っても構わないだろうか?」
「まあ、そうですか。では本部へ行かれる前に名前さんの怪我の診察をしますので、煉獄さんは一旦席を外して下さい」
「分かった!」
杏寿郎はスタスタと部屋の外へ向かい、静かにドアを閉めた。