第1章 死なせない
『集中』
気が付けば映画は巻き戻っていた。
横たわる炭治郎に、止血を促す杏寿郎。
あれ?
鎹烏が涙して飛ぶシーンは?
柱達が一人一人登場して、お館様が出てきて・・・
あれ?
『・・・む?』
スクリーンには目を瞬かせる杏寿郎。
『煉獄さん?』
『・・・竈門少年、俺は今死んだ筈なのだが・・・』
『は?』
不思議そうに杏寿郎を見上げる炭治郎と、腹部を押さえて首を傾げる杏寿郎。
あれ?
何このシーン。
何かおかしくない?
だけど、そんな二人の背後に上弦の鬼が登場すると、一気に緊迫した空気になった。
『っ・・・!? 猗窩座!』
『ん?俺を知っているのか?』
驚愕に目を見開いた杏寿郎だったが、そんな彼にお構い無しな鬼は炭治郎を狙って攻撃してきた。
咄嗟にそれを剣で防ぐと、杏寿郎は厳しい視線を鬼に向ける。
『・・・やはり俺は君が嫌いだ』