第1章 死なせない
一瞬で鬼の眼前へと迫る杏寿郎は、激しく刀で斬り付けていく。
『!』
鬼は若干驚きの表情を浮かべたが、杏寿郎の斬撃をいなしつつ嬉しそうに笑った。
『うん。いいなお前』
やはり先程からおかしい。
こんなシーンは無かった筈だ。
違和感に私は首を傾げつつ、激しくなっていく戦闘を見つめる。
『鬼になれ!杏寿郎!』
『如何なる理由があろうとも、俺は鬼にはならない!!』
杏寿郎が奥義の構えをとると、それを目にした鬼は血鬼術を展開する。
『炎の呼吸 玖ノ型 煉獄!!』
『血鬼術 破壊殺 滅式!』