第2章 代償
何処かで聞いた事のあるフレーズだが、目覚めて最初に見たのは知らない天井だった。
くっきりと木目のある木の天井で、随分古めかしいランプが吊るされている。
室内は六畳程の広さで家具はベッドと小さめなチェスト、大きめの窓には白いカーテンが掛かりその向い側に扉が一つ。
少し固めのベッドに寝かされた身体は身動ぎをした瞬間、あちこちが軋んで痛んだ。
特に左肩と左腕、鳩尾の痛みは激しく、冷や汗がドッと滲み出る。
ベッドの脇には液体の入った袋を吊るしたポールが立ち、辛うじて持ち上げる事の出来た右腕からはそれと繋がった管が伸び、何かが投与されている様だ。
身体に掛かっていた布を捲り視線を落とすと、左腕が動かない様に固定されている。
「だ、れか・・・ぅ、けほっ・・・こほっ」
声が掠れて思うように出せず咳き込んでいると、部屋の扉が軋んだ音を立てて開いた。