第2章 代償
互いに目を合わせて頭上に"?"を浮かべていると、アオイがそっと助け船を出した。
「炎柱様、名前さんは少し記憶が混迷しているみたいなんです。意識が戻ってから色々と伺ったのですが、どうやらご自分のお名前以外は思い出せないそうで・・・」
「あの、本当にごめんなさい。私、何も覚えていなくて・・・」
「よもやっ・・・!」
杏寿郎は思わず声高に叫んでしまい、それをアオイがたしなめる。
その様子を名前が申し訳なさそうに見ており、杏寿郎は自分の失態に頭を垂れた。
「いや、俺の方こそ申し訳なかった!何も覚えていないなど不安であろう。怪我も癒えていないのに突然押し掛けてすまなかったな。また来るので今日のところは失礼するとしよう」