第2章 代償
「あの人は、いつ目覚めるんでしょうか・・・」
"あの人"とは先の任務で杏寿郎を庇った人間だった。
彼女は今も蝶屋敷のベッドの上で眠り続けている。
突然あの場に現れた、見た目と違い人間離れした力を持った女性。
怪我の度合いは自分等と同様に重傷で、一時は出血の多さから生死の境を彷徨っていた程だ。
幸いな事に今は状態も落ち着いており、後は目覚めを待つばかり。
ただし胡蝶曰く、怪我の回復速度は徒人と変わらない為、完治までもう暫く掛かるだろうとの事だ。
「よもや胡蝶の見立てを疑う訳ではないが、こうも目を覚まさないとはな・・・流石に俺も心配している!」
彼女には聞きたい事が山程ある。
あの幾度となく繰り返された時は一体何だったのか・・・それに、自分の事を知っている様だった。