• テキストサイズ

loop-ループ-いつか辿り着く世界【鬼滅の刃】

第8章 煉獄家


皆で美味しい昼食を頂いた後、大量に出た食器類を片付ける為に千寿郎君が席を立った。
杏寿郎さんは自分も手伝うと言って、両手で器用に重ねた食器タワーを、これまた素晴らしいバランス感覚で支えながら部屋を出て行った。

「・・・・・・」

賑やかな二人の居なくなった部屋に、食事が済んだにも拘わらず、何故かその場を動かない槇寿郎さんと二人きり。
手持ちぶさたになった私は、湯呑みに注がれたお茶に口を付けつつ、部屋のインテリアらしい掛け軸やら壺やらに目を向けてみる。
チラッ・・・チラッ・・・。
合間に槇寿郎さんへ視線を向けてみては直ぐ戻す、を繰り返す事数回。
恐らくそれに気付いているであろう槇寿郎さんは、何故か全く反応を示す事は無く、無情にも沈黙の時は流れる。
そして、一向に杏寿郎さんと千寿郎君の戻る気配は無い。

「・・・・・・」

駄目だ、耐えられない。
何だこの果てしなく胃に悪そうな痛い沈黙は。
そもそも私は初対面の槇寿郎さんに対し、思い切り地雷を踏み抜いておいて、未だなんのフォローもしていなかった。
突然見知らぬ女に偉そうに苦言を吐かれたこの人の気持ちは押して知るべしだろう。
ここはやはり、きちんと謝罪をしなければ。

「あ、あの・・・」

自分から声を掛けておきながら、その後に掛ける言葉が見つからず、再び沈黙が落ちる。
そこへ槇寿郎さんが手にしていた湯呑みを茶托に置く音が響き、ビクッとして思わず肩を竦めた。

「名前さ「すみませんでしたーーー!!」ん・・・」

槇寿郎さんが私の名を呼ぶのと、私が槇寿郎さんに向かってスライディング土下座するのが被った結果、またもや室内に沈黙が落ちる・・・かと思われたが。

「フッ・・・」

思わず顔を上げれば、何故か槇寿郎さんが笑っていた。
/ 213ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp