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loop-ループ-いつか辿り着く世界【鬼滅の刃】

第8章 煉獄家


「・・・切っ掛け、か。
記憶が戻った時の君が語った、この世界を形作る『鬼滅の刃』という物語では、俺は列車の任務で上弦の鬼に敗れて死に、その後竈門少年が俺の遺言を伝える為にこの家を訪れるそうなのだが。
父と弟はそれが切っ掛けで、歩む道が大きく変化するそうだ」

杏寿郎は一度言葉を切り、少し瞳を伏せる。

「・・・千寿郎君は剣士の道を選ばず、槇寿郎さんは立ち直って再び刀を手にしたんですよね?」
「うむ。二人は在るべき姿を取り戻せたと聞いている」

名前も、とある存在に見せられた為に、煉獄親子のその後を知っている。
そこに杏寿郎の姿が無くて、悲しかった。

「だけど私、未だちょっと信じられないんです。自分の記憶が少しの間だけ戻った事とか、ここが過去の世界ではなく物語の世界だとか・・・厳密に言えば並行世界だと思いますけど」

見せられた映像は今も名前の脳裏に焼き付いている。
まるで刷り込まれたかの様に、会話の一語一句さえ覚えていた。
それは杏寿郎も同様らしく、名前の語った長い物語を全て記憶しているのだとか。
明らかに、異常だった。
これについては、多分何かしらの力が働いているのではないか、と二人で結論付けた。

「だが、真実だ。俺が生きている事で、この先の未来がどう変化するかは分からないが」

記憶には無いけれど、自分の行動が未来を変えてしまったのだと思うと、名前はどうしようもなく不安になる。

「あの・・・煉獄さん。私なんかの言葉が本当に槇寿郎さんの心を動かせたんでしょうか?」
「俺はそう思っている。君が裏表の無い真っ直ぐな気持ちをぶつけてくれたからこそ、父の胸に響いたのだとな」
「煉獄さん・・・」
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