第1章 死なせない
見た目と違うのは力ばかりの所詮は弱者か、と猗窩座は少しがっかりしていた。
刀を手にしていない事から、鬼殺隊の者では無いのだろう。
身体能力に関してだけは並みの鬼を遥かに凌駕するが、それに技も気力も追い付いていない、というか全く使いこなせていない。
何ともちぐはぐな印象を受けるが、相手が女である限り本気で戦う気は微塵も無かった。
「気は済んだか?」
震えながら歯を食いしばって泣く女の姿は、一瞬で自分の興味から外された。
さて、今回の目的は主から伝えられた"とある隊士"と"柱"の抹殺。
大分お目当てから離れてしまったが、鬼の自分からしてみれば僅かな距離である。
取り敢えず邪魔な雑草はさっさと殺すとしよう。
それからじっくりとあちらの骨の有りそうな奴と戦おう。
ああ、楽しみだ。