第7章 協力者
杏寿郎が去った後、アオイは宣言通りに名前の清拭作業を開始した。
熱い湯に浸けて固く絞ったタオルで背中を拭かれ、名前はホッと息を吐く。
右手の届く範囲は自分で拭かせて欲しいと頼むと、アオイは苦笑して湯を絞り直したタオルを手渡してくれた。
「私、五日も寝てたのかぁ・・・また迷惑掛けてごめんなさい。ああー・・・本当にアオイちゃん達には足を向けて寝れません」
髪がそんなにベタついていないのも、アオイ達が洗ってくれていたからなのだろう。
前に怪我で暫く入浴が出来なかった時、汚れた髪を気にした名前を見かねたアオイは、部屋に大きなタライと小さい手桶を持ってきて、お湯で流してくれたのだ。
「いつもありがとう、アオイちゃん」
名前の清拭を終えたアオイが使用済みのタオルやタライを片付けていると、背後から声が掛かった。
手を止めて振り返れば、着替えを終えてクッションに上半身を預けた名前が、嬉しそうに笑みを浮かべてベッドの上からアオイを見つめている。
「どういたしまして」
いつものキリリとした表情を緩め、アオイは名前に微笑んだ。
「明日からは、普通にお風呂に入っていいんだよね?」
「ええ、しのぶ様から許可が出ているから」
「じゃあまた一緒に入ろうね」
「名前さんたら、相変わらずね・・・ふふっ」