第7章 協力者
部屋に入って来たアオイは杏寿郎から彼の傍らのベッドに視線を移すと、眠っていた筈の名前と目が合った。
「名前さん!?い、いつ起きて・・・きゃっ!?」
「む!」
アオイが驚嘆してタライを落とし掛けると、杏寿郎は素早く駆け寄りそれを寸前で受け止める。
タライのお湯が弾みでチャプンと跳ね、室内の人間はホッと息を吐いた。
「ありがとうございます、炎柱様」
「うむ!折角の湯が無駄にならずに済んで良かったな!」
杏寿郎がタライをアオイに手渡していると、名前は肘を付いてプルプルと身体を震わせながら、なんとか半身を起こしてアオイに声を掛けた。
「アオイちゃん、大丈夫?」
その声に反応したアオイと杏寿郎はベッドを見るなり、名前の動きを制する。
「あ!名前さん!急に起き上がっては駄目!」
「名前!無理に動くな!」
二人の過保護とも言える言葉に名前は目を丸くし、それから苦笑した。
「名前、君が眠っている間に見たものについてだが、任務が明けたらまた此方に来るので、その時にゆっくり話し合おう!
それから神崎少女!名前の世話を宜しく頼む!それではな!」
要に再び急かされた杏寿郎は口早にそう言うと、急ぎその場を後にした。