第7章 協力者
アオイちゃんが部屋から出て行った途端、部屋はしんと静まり返った。
私はクッションに寄り掛かった身体をズルズルと沈め、仰向けに寝転がる。
大分見慣れてきた天井を見上げ、少しだけボンヤリとした。
この世界が辿る路は、とてつもなく厳しいものだった。
私にそれを見せた存在が何なのかは分からないけど、時戻りや煉獄さんを救った力というのは、どうやらそいつからのギフトらしい。
この世界を生き抜く為には有難い能力だけど、力の使い方のレクチャーが何とも漠然としていて分かりづらい。
そいつ曰く、自分の中の力を感じ取って使え、だそうだ。
どこの少年漫画だ。
取り敢えず瞑想でもすれば良いのだろうか。
というか、未だにこの力と煉獄さんの関係性が分からない。
何故かこの力の発動にいつも関わっているけれど、煉獄さんだけが時戻りを認識出来るのは何故だろう。
「煉獄さんて・・・何者?
・・・って、いやいや、何言ってんの私。いつも散々お世話になっておきながら『何者』は無いでしょ」
誰も居ない部屋でブツブツと独り言を溢す私は端から見れば怪しい奴だ。
まあ、それは置いておくとして、改めて煉獄さんの事をどう思っているのかというと、ぶっちゃけ好き。
だけどlikeかloveかで聞かれたらまだ分からない。
初めて彼を目にした時、何故かとても胸が苦しくなって涙が出た。
もしかしたら、記憶が無くなる前の私も、煉獄さんの事が好きだったのかもしれない。