第7章 協力者
「カァー!杏寿郎!ソロソロ任務の時間ダ」
バサリと羽音がして、鎹鴉の要が窓枠に留まった。
杏寿郎はチラッと要に視線を向けた後、腕の中の名前の様子を伺う。
泣くという行為は案外体力を使う為、名前は少しだけグッタリしていた。
「うむ、分かっている・・・名前、大丈夫か?」
涙の止まった名前がコクリと頷いたのを見て、彼女の頭を優しく撫でた。
杏寿郎は名前を抱えて一旦ベッドから降りると、彼女の身体を再びベッドに横たわらせた。
「むう、こんな状態の君を残して任務へ向かうのは気が進まないのだが・・・」
「名前ノ事ハ蟲柱達ニ任セテ杏寿郎ハ任務ダ!カァー!」
要に急かされた杏寿郎が、本の少しだけ苦い顔をすると、名前は苦笑を浮かべて言う。
「あの・・・煉獄さん、私の事はいいので、構わず行って下さい」
「う、む・・・」
煮え切らない返事を杏寿郎がしていると、ノックの音と共に部屋の扉が開いた。
「あ、炎柱様?いらしてたんですか・・・すみませんが、これから名前さんの清拭をしますので、席を外して欲しいのですが・・・」
そう言いながら、お湯の入ったタライと清潔な布を持つアオイは、室内に足を踏み入れた。