第7章 協力者
「良い大人が二人揃って、加減と言うものを知らないのですか」
額に青筋を浮かべたしのぶの前に、正座する男が二人。
少し離れたベッドには、何処の火災現場に行ってきたのかと言わんばかりの格好で、失神する少年が三人。
「鍛練も結構ですが、少しやり過ぎです。そもそもあんな大量に火薬を使うなんて、うちの裏山を丸坊主にするおつもりですか、宇髄さん?
煉獄さんも、新しい継子を前に張り切るのは良いですけど、あまり過剰な指導を繰り返すのはどうかと思います」
ガタイの良い男が二人揃って、小柄で可憐な容姿の女性にやり込められている。
些か滑稽な構図だが、男達はしのぶの圧に無言で耐えた。
正確には下手に反論すると二倍になって返ってくる為に、声を出そうとする杏寿郎の口を天元が塞いでいるのだが。
コンコン。
ノックの音にしのぶが返事をすると扉が開き、顔を見せた少女は室内の様子に一瞬ギョッとするも、端的に用件を伝えて出て行った。
しのぶはハァ・・・と息を吐き出してから、チラッと時計を見る。
「兎に角、今後はもう少し考えて行動してください」
そう言って、しのぶは部屋を後にした。
「・・・」
「・・・あ、わりぃ」
杏寿郎が自分の口を塞ぐ天元の腕を叩いて外させる。
「うむ!次からは火薬は無しだな!」
「だな。仕方ねえ、後で裏山に爆発しない地味な罠でも仕掛けとくかぁ」