第7章 協力者
「故に宇髄、どうか俺に力を貸して欲しい!」
「・・・・・・おう」
自分に向かって頭を下げているこの同僚は、糞が付く程真面目な男で、どれだけ自分が辛くとも、誰かに助けを求めるよりも誰かを助ける事を常とする様な奴だ。
どんな時でも明るい笑みを絶やさず前向きで、決して進む足を止める事はしない。
だからこそ、いつか背負い過ぎた荷に潰されてしまうのではないかと、そんな危うさを感じさせる男であったが。
「ありがとう!宇髄!」
それが今、自分に助力を求めている。
天元は、自然と自分の口許が上がっていくのを感じた。
「煉獄・・・お前さ、何か少し変わったなぁ」
「む?そうだろうか?」
破顔した天元は、ガシリと杏寿郎の首に太い腕を回した。
「いいぜ。幾らでも貸してやるよ、ド派手になぁ!」
「ああ!宜しく頼む!!」
毛先の赤い金髪頭を気が済むまで揉みくちゃにした後、天元は問い掛ける。
「で?具体的に俺に何をさせたいんだ?」
鳥の巣になり掛けた髪を整える杏寿郎が、不敵に笑う天元を見つめ、口を開く。
「現在君とその奥方達が探っている鬼の件で、少しでも変化が起きた時は俺を呼んでくれ。それと、とある少年隊士達を鍛えるのに手を貸して欲しい」