第7章 協力者
「違う・・・と言っても君は信じないだろうな。うむ、その通りだ!」
あっさりと認めた杏寿郎は両腕を組んで胸を張る。
嘘を吐けないこの男らしい反応に、天元は軽く肩を竦めた。
「今は話せないって事は、いずれ話せるのか?」
「正確には、今この場でそれを話したところで無意味なのだ。さっき君と会った時、俺は開口一番にある事を伝えたが、君はそれを認識出来なかった」
「あ?どういう事だ?」
「俺もまだ手探りの段階なので上手く説明出来ない。昨晩の胡蝶とのやり取りでも同様の現象が起こったので、そうなるだろうと踏んではいたのだが。
宇髄、俺はこの先の未来をより良いものへと変えて行きたい。それは名前の願いであったが、今や俺自身の望みでもある」
昨晩はあの後名前の目覚める気配は無く、名残惜しくも杏寿郎はその場から立ち去る事となった。
今朝も要を蝶屋敷へ飛ばしたが、力を使った反動か未だ意識が回復していないとの事だ。
おそらく次に会う時には、彼女の記憶は無い。
「だがそれは、どんなに努力しようとも、俺一人だけでは成せないだろう」
いつもならば、柱として不甲斐なし!と叫んでいるところだが、根性論でどうにかなるなら今頃鬼は全て狩り尽くされている。