第7章 協力者
「煉獄ぅ・・・馬鹿かお前」
「よもや!?」
音柱宇髄天元は、目の前の炎を体現した様な派手な男を呆れた目で見下ろした。
常に見開いたかの様に見える杏寿郎の焔色の瞳が更に円くなって『何故!?』と文字が浮かび、背後からはガーンといった効果音まで聞こえて来そうだ。
「ンなの派手に拒否されるに決まってんじゃねーか。幾ら何でも直球過ぎだっつーの」
「むう・・・」
杏寿郎の、いつもは元気よくピョコンと跳ねている毛先の赤い金色の前髪は勢いを失くし、斜め上に向かって生えているくっきりとした太い眉も若干ハの字に下がっている。
「あの真面目ちゃん相手に何の策も無くぶち当たったところで、派手に返り討ちに遭って終いだぜ」
内密に相談に乗って欲しい事がある。
珍しい奴からの珍しい文の内容に、最近噂になっている例の娘とのアレやコレかと思えば、地味につまらない内容だったと天元は軽く頭を掻いた。
「そもそもだ、煉獄。何でお前が態々胡蝶のその毒の摂取云々に首を突っ込む必要があるんだよ?」
「すまないが詳しくは教えられない!しかし俺は君と違って小賢しく策を練るのは苦手なのだ!」
「あ"あ"っ!? 小賢しくて悪かったなぁ、おい」
天元は額にビキッと筋を浮かべ、口許を引き攣らせた。