第1章 死なせない
許さない・・・許さない・・・許さない・・・!
「絶対に・・・許さないっ!!!」
鬼の姿を見た瞬間、目の前が真っ赤に染まった。
あいつが杏寿郎を殺した。
何度も何度も何度も・・・!
「うぅぅぁあああああああああーっ!!」
つい先程迄は静かに涙を流していた人間が、突如激昂したかと思うと、鬼に向かって走り出した。
「な!?・・・っいかん!」
咄嗟に伸ばした手は空を切り、その背は瞬く間に鬼との距離を詰める。
一般人だった筈の気配はいつの間にか常人のそれとはかけ離れたものとなっており、杏寿郎はその姿に目を見開いた。
「よもや・・・」