第1章 死なせない
自分が何故この場に居るのかとか、そんな事はもうどうでも良かった。
杏寿郎が生きているのが嬉しくて涙が止まらない。
「煉獄さん、どういう事ですか?鬼はもう倒したのに・・・」
横たわったままの炭治郎が、杏寿郎の言葉に困惑している。
「うむ、俺にも上手く説明が出来ないのだが・・・まもなく上弦の鬼が現れる。竈門少年、君はこの女性を連れて此処から離れなさい」
「え・・・」
「少年!急げ!!」
けれども炭治郎が行動するよりも早く、大きな音を立てて鬼はやって来た。
杏寿郎は二人を庇うように刀を構える。
「・・・さな、い」