第6章 彼女の力
時戻りを認識出来る煉獄さんは、その都度戻った分だけ時を繰り返さなければならない。
戻るタイミングによっては、不都合が生じる場合もあるだろう。
例えば鬼を討伐してから時が戻って、もう一度鬼と戦わなければならなくなったら?
その所為で誰かが傷付いたり、死んでしまったら?
この力は、煉獄さんにとって負担にしかならないのではないだろうか。
「名前!」
「痛ァ!?」
突然、煉獄さんに額を指で突かれた。
物凄く痛い。
「な、に、するん、ですかぁ~・・・もぉ」
「む?そんなに痛かったか?」
「痛いです!」
額を手で押えて涙目で睨み付けると、煉獄さんは私の手を退かして赤くなっているであろうその部分を撫でた。
「君の肌は存外弱いのだな・・・すまん!」
「私の肌は普通です!貴方の力が強過ぎるだけですから!」
「そうか!次はもう少し加減しよう!」
「!?」
次があってたまるか!
と思いつつ、額を撫でる固い指先の動きが優しいので憤りは鎮まっていった。
「前にも伝えたが、俺は君の事を迷惑だと思った事は一度も無い」
煉獄さんが額を撫でていた手を持ち上げて、ポスンと私の頭に乗せる。