第6章 彼女の力
「私の時戻りの力って自由に使えないだけじゃなくて、何故か煉獄さんが近くに居るか、煉獄さんに関係した何かでしか働かないみたいなんです」
「ふむ、言われてみれば確かにそうかも知れんな?」
「折角煉獄さんが側に居るのに、今時が戻れば皆助かるかもしれないのに、どうして肝心な時に使えないんだろう。私、役立たずですよね」
四肢を欠損してしまった隊士は、以前の様に刀を振るう事は出来ないだろう。
亡くなった隊士の無念さを思うとやりきれない。
「名前、鬼殺隊の者は皆が死ぬ覚悟を持っている。己の命を仲間に託す勇気を持っている。君一人の力でそれを全て覆したいというのは、些か傲慢ではないだろうか?」
「そんな、事は・・・」
「時戻りの力は確かに強力だ。一度選んでしまったものを再度選択し直すなど、本来は出来ない事だからな。だが、俺はこの力に頼るつもりはない」
何だか、煉獄さんに拒絶された様な気がして胸が痛む。
皆を助けたいと思うのは、いけない事なのだろうか。
迷惑ばかり掛けて何の役にも立たない私だけど、時戻りの力を使って誰かを救う事が出来たなら、それはとても誇らしい事だ。
「煉獄さんは、この力に巻き込まれるの、迷惑ですか」