第6章 彼女の力
私の時戻りの力は不安定で、自分の意思で自由に使う事が出来ない。
しかも、戻る時間はほんの数秒だったり半日近くだったりとまちまちで、長い時間を戻ると身体に負担が掛かり倒れてしまう。
ただ、何故かその力が発現する時は、直接的にしろ間接的にしろ、煉獄さんが関わってくる。
そして、この力を認識出来るのも今のところ、私と煉獄さんだけだ。
「今、ここに煉獄さんが来てくれたら、そうしたらもしかして・・・」
「呼んだだろうか!」
「へ?」
だいぶ耳に馴染んだ溌剌とした声が、真後ろから聞こえてきた。
「れ、煉獄さん!?」
振り向けばそこに腕を組んだ煉獄さんが立っていて、思わず私は目を真ん丸にしてしまった。
「な、何でここに居るんですか!?」
「うむ!鎹鴉から死傷者が多数出ていると救援要請を受けた。俺が現場に駆け付けた時には鬼は狩られた後だったが、怪我人を蝶屋敷に運ぶというので手伝う事にした!」
聞いてないんですけど、と後藤さんを振り向いて視線で問えば、知らなかったのか?と返される。
「それで名前。君は俺に何か用があるのではないのか?」
「用、というか・・・」
「うん?」