第6章 彼女の力
「甲って確か柱の次に強い人達なんですよね?それなのにあんな重傷を負うなんて・・・」
「癸の隊士を庇ったらしいな。こいつも癸だが」
後藤さんは包帯を巻く手を止めて、意識の無い隊士にデコぴんを食らわせた。
「い"だぁっ!」
「うっせ。たいした怪我じゃねーんだからいい加減起きろ!」
「あああああぁぁぁぁ~酷いですよぉ~」
目を覚ました癸の隊士が額を抑えてメソメソと泣く。
何となく可哀相に思って「大丈夫ですか?」と声を掛けたらギュッと手を握られた。
「て、天使・・・!!」
「は?」
「おい!手ぇ放せこの馬鹿が!炎柱様の耳に入ったらぶっとばされんぞお前!」
「ぐえっ」
後藤さんが慌てて癸の隊士の頭をチョップして、私から引き剥がした。
何か今変な事言ってた様な・・・炎柱って確か煉獄さんの事だよね?
「あの、後藤さん?」
「あああああ名前ちゃんは気にしなくて良いから!な!」
「・・・?」
「そんな事より、今回討伐した鬼はそんなヤバイ奴だったのか?確か取り逃がして山に逃亡したから近辺に居た隊士が増員されたんだよな?」
そうだった、こんなに被害が出たんだもの、今回の任務内容の方が重要だよね!