第10章 いくつかの誤解
「少し早いけど、このタイミングだから」
暫くの後、私の手を取り薬指にはめられたそれを見て、私は驚いて目を上げた。
「いつも一緒に居れるように。 これは支えにならないかな?」
エタニティデザインの指輪。
石がリングを囲んでキラキラと輝いていた。
「今旭ちゃんとそういう関係になると、多分俺は向こうで耐えられなさそうな気がする、だから」
誠実さが滲み出る容貌の、眼鏡の奥の目がほんの微かな欲を持って私を見詰めている。
熱くなった私の頬が冷めるまで手を握りあった。
そんな彼のプロポーズだった。
遥さんと会った後に、和泉さんから連絡があったのは週が明けてからの事。