第9章 第三夜…宵闇に溶ける
ほんの少しだけ、抵抗が弱まった。
それでもまだ苦しい。
だけど遥さんより自分の腕を噛んだ。
奥まで穿ったままでぐぐ、と拡げてきた。
もう余裕なんて無いのに。
もっとと責められてるようなやり方。
「少し力抜け」
「強く、しない、…で」
体が固まったみたいに動けない。
離すとおかしくなってしまいそうな気がした。
「優しくするから。 辛いのはいつも力入れてるからだ」
「……ぁ」
私を持ち上げた遥さんがごくごく浅く、動き始めた。
ずりずりとこする壁に彼の先が柔らかく引っ掻かれる。
きゅ、と内部が切なくすぼまった。
「ぅ…ッん」
「声出てるって」
「…………っ」
声を、出したい。
息だけでも。
地にさえ足を着けずに揺らされ続ける私は不自由過ぎる。
誰で泣こうが私の勝手なのに。
誰の名前を呼ぼうが誰と寝るのも私の自由なのに。
こんな風に、遥さんはいつも私を縛る。
「…嫌い…で、す」
頬に押し付けられてる遥さんの首筋。
相変わらず甘く乾いた匂い。
私がされた様に、歯を立てる。
「…ツ」
「遥さんなんか、嫌い」
歯を立てて、その後に唇で挟む。
キツく、吸う。
仄暗い中で彼の肌の一部に濃く暗い色が残る。
「…旭…煽んな」
ずん、と深くなった。
喉が反れて小さく掠れた悲鳴が漏れた。
もう痛くはなくて、だけどまた別の。