第9章 第三夜…宵闇に溶ける
まだ収まらない疼きをなだめるように髪を梳いてくる。
「無理、です…」
「おい旭、もう他の男の事で泣くな」
濡れかけた頬を遥さんの指が拭った。
「これは…」
そんなのじゃない。
いつも思う。
聞き入れてくれない癖に訊くのは何故なんだろう。
この人は本当に狡い。
口を開く前に再度地面から足先が離れた。
「あ、無…ッ!!」
何の予兆もなく体内を貫いたそれに、視界が爆ぜた。
先程まで私を抱き締めていた遥さん。
私の体を支えてるのは彼の腕だけじゃなくて。
降ろしていって、内部を割り開いてきた。
深くなる結合に体を逸らす。
「んく!」
「声。 俺の肩でもどこでも噛んどけ」
目を固く閉じて首を左右に振り、止めてと意思表示した。
「…………ッ」
こないだみたいに優しくしてくれてる訳じゃない。
初めから、強過ぎる。
「深ッの、や」
震えながら訴えた。
支えてはくれているけど自重で押し上げられてしまう。
「は、るさ…壊れちゃ……」
「そんな風に泣くのは俺の時だけだ。 分かったか」
夢中で彼にしがみつきながら頷く。