第9章 第三夜…宵闇に溶ける
乱れた服を直そうとスカートを押さえようとした手を止められた。
「遥さん?」
私を木の影側に押し付けた彼。
こちらが着ていた衣服の胸元のボタンを一つだけ外す。
そこの隙間に顔を下げてきた。
「……ッつ」
強く吸われて顔をしかめた。
鎖骨から胸の谷間、僅かずつ位置をズラして何度も。
「痛いか」
痛いと言うな、と言われている。
これも命令。
だけど。
肌を焼くそれが、思いがけず時折甘い疼きを伴う。
軽く吸われる時に。
ちろりと舐められる時に。
……そんな風に私の体を滑る、遥さんの唇は。
「気持ちいい、です」
素直にそう告げた。
視線を下げたその先で、満足気に彼の口の端が上がったのが見えた。
「……ご褒美やるよ」
中途半端に止められていたそこへ、また触手みたいに伸ばされた彼の指の先端。
「ゃ、そこ」
優しく触れてくる。
手を繋いでた時はただ強引に握るだけだったのに。
「嫌じゃないだろ」
クリトリスを上下に指の腹で擦り上げる。
胸を包む下着から少しだけはみ出させた部分の肌。
そこにも睡液を塗り付ける。
目を閉じて一心に肌を食んでいる彼を見てぞくりとした。
「ん」
そうしてからもう充分と思ったのか、彼が胸から口を離した。
もう自分でも感触やその様子がはっきり分かる。
膨らんだ肉芽がひくひくと蠢いて、触れられる度に悦んでるみたいだった。
指を噛み、耐える私に可愛いと囁いてきた。
段々と早い動きで追い詰めて来る。
両手で口許を覆って堪えていた。
揃えられた指先が絶え間なく捏ねてきて。
その鋭い衝撃に目が眩む。
「……………ッ!!」
知らない間に彼の首にもたれるように腕を回し足をガクガクと戦慄かせた。
そうしながらも敏感になり過ぎているそこに。
痛みとも快楽の続きとも言える余韻を与えられていた。
「もう少し我慢出来るか」