第9章 第三夜…宵闇に溶ける
少しだけ体を弛緩させようとした、そんな間もなく全部の指が前の方に滑ってきた。
「ッん!」
慌てた声を漏らした私に我慢しろ、と声を掛けられる。
膨らみかけたクリトリスを柔らかく押し潰して、その周りを挟む。
先程まで私の中にいた指先はぬるぬると潤っていて、強烈な快感しか運ばない。
こんなのには抗えない。
もうすっかりと抵抗には諦めて自分の声を漏らさない事に注力した。
「………で?」
急にその動きを止められた。
それで、ぐうっと膨らんできていた熱を奪われる。
つい拍子抜けした様に彼を見下ろしてしまう。
「さっきの返事は?」
さっきの?
麻痺してしまっていた頭で記憶を手繰る。
そう、いえば。
「聞き……ません」
和泉さんとどうこうという問題じゃない。
「相変わらず強情だな」
だってそしたら。
そんな関係じゃ前に進めない。
そんな自分の思考を、また反芻する。
……前に?
この人と?
私はそれを望んでいる?
「実は旭のそういうとこも嫌いじゃないけど」
私の体をゆっくりと滑らせてやっと遥さんが下に降ろしてくれた。
それで彼がもう諦めて、許してくれたのだと思った。
あの直前で、体が火照って足元がふらついている。